2026年3月時点
この記事では、リスク資産である株式と暗号資産(仮想通貨)の価格を変える要因について解説します。

安全資産、リスク資産とは
「安全資産」(無リスク資産)とは、元本割れのリスクが無く(あるいは少なく)、将来の収益がほぼ確定しているローリスク・ローリターンの金融商品を指します。
安全資産の代表例は、預貯金、国債、貯蓄型保険です。ただし、ドルなどの外貨建て預金や外国債券等の場合は、国内より金利が高かったとしても、外国為替相場の状況によって、元本割れが生じる場合があります。
金(ゴールド)も安全資産に数えられることが多い商品ですが、その価格は日々大きく変動しており、短期的には元本割れするリスクが大いにあります。
「安全資産」に対し、「リスク資産」とは、元本保証がなく、将来の収益も確定していない反面、見通しどおりの値動きをすれば大きな収益を得ることができるハイリスク・ハイリターン(あるいはミドルリスク・ミドルリターン)の金融商品を指します。
リスク資産の代表例は、株式、投資信託、暗号資産(仮想通貨)、不動産です。
自分の資金状況に合わせて、安全資産とリスク資産を組み合わせて運用するのが理想とされています。
なお、ローリスク・ハイリターンといった都合のよい商品は通常存在し得ず、そのようなアピールをする商品は概ね詐欺です。
株式、仮想通貨とは
本記事では、リスク資産の内、株式と暗号資産について取り上げます。
「株式」とは、企業が事業資金を集めるために発行する証券です。「株式」を購入するとその企業の「株主」となり、持株数に応じて配当金(インカムゲイン)や株主優待サービスなどを受け取ったり、株式を第三者に売却することにより売却益(キャピタルゲイン)を得ることができます。
「暗号資産」(仮想通貨:Cryptocurrency)とは、ブロックチェーン技術を用いたデジタル資産です。ビットコイン、イーサリアム、ソラナ、XRP(リップル)など代表的であり、特にビットコインは、金(ゴールド)の代替品としてデジタルゴールドとも呼ばれています。
上記のとおり、株式も暗号資産もリスク資産に位置付けられます。値上がりすれば大きな利益を得ることができますが、元本保証はなく、値下がりすれば損失を被ることもあります。特に暗号資産は、ボラティリティが非常に高く、短期間で大きな値動きをするため、現物投資(長期運用)の他、短期的なスイングトレード、デイトレード、スキャルピングなどにもよく利用されています。
上記リスク資産の価格変動要因
株式と暗号資産の価格は日々動いていますが、なぜ変動するのでしょうか。
価格を決定している要因は、一言でいうとその資産の需要(欲求)と供給のバランスであり、売られる資産は安く、買われる資産は高くなります。
具体的には、以下にあげるような要因が相互に影響し合って相場が作られます。
1 業績(実績)と将来性
価格を決める最大の要因は、その銘柄の業績と将来性です。多くの投資家から業績と将来性が認められれば価格上昇要因となり、逆に不祥事などで業績悪化が懸念されると価格下落要因となります。
株式であれば、その会社の売上、利益、業界シェア、認知度、競争力、外部環境などが考慮されます。
暗号資産であれば、その銘柄の時価総額、普及率、認知度、希少性、性能(処理速度、必要コスト、採用技術等)、法規制などが考慮されます。世界初の暗号資産であるビットコインは、後発の暗号資産に比べて性能では劣るものの、圧倒的な認知度や希少性(発行上限が2100万btcと定められている。)によってダントツに高い時価総額を有しています。
2 政策金利
銀行などの金融機関(市中銀行)が融資に使うカネ(通貨)は、中央銀行(日本では日本銀行、アメリカではFRB:Federal Reserve Board 連邦準備制度理事会ないしFOMC:Federal Open Market Committee 連邦公開市場委員会)から仕入れています。例えば、中央銀行から1%で仕入れた金を2%で企業や個人に貸し付けるイメージです。
そのため、中央銀行は、政策金利を変動させることによって、社会(市場)全体の金利を変動させることができるわけです。
経済活動を刺激しようとする場合には金利を引き下げ↓(金融緩和)、個人や企業が金融機関から借入をし易くします。
逆に、景気の過熱を冷まし、物価上昇(インフレーション)を抑制しようとする場合には金利を引き上げ↑(金融引き締め)、市場におけるカネ(通貨)の供給量を減少させます。
中央銀行が利下げ↓すると、預貯金、国債などの安全資産の利息も連動して下がるため、リスク資産である株式、暗号資産の需要が高まり(リスクオン)、価格上昇要因となります。
他方、中央銀行が利上げ↑すると、安全資産の利息も連動して上がるため、安全資産の需要が高まり(リスクオフ)、リスク資産である株式、暗号資産の価格下落要因となります。
アメリカ雇用統計(米国株式、暗号資産)
米雇用統計は、毎月米国労働省が発表する、労働市場の動向を示す経済指標です。
米FRBが政策金利を決定するにあたり、景気判断の指標として、個人消費を左右する雇用統計は重要視されています。特に重視されるのは「失業率」(Unemployment Rate)と「非農業部門就業者数」(Nonfarm Payrolls)です。
雇用統計の結果が悪いと、個人所得・個人消費が下がり景気が悪くなる傾向を示すものして、景気を刺激するためFRBが政策金利を引き下げる要因になります。つまり、FRBの利下げ期待が高まることで、リスク資産であるアメリカ株式、暗号資産の需要が高まり(リスクオン)、価格上昇要因となります。
逆に、雇用統計の結果が良いと、FRBの利上げ期待が高まることで、安全資産の需要が高まり(リスクオフ)、リスク資産であるアメリカ株式、暗号資産の価格下落要因となります。
つまり、アメリカの雇用情勢の結果が悪ければ価格上昇要因に、良ければ価格下落要因になります。特に、予想外の数値が出ると大きく変動しやすくなります。
3 国内政策等の動向
国内の政治、経済政策の動向、法規制の変更、要人の発言は、株価や暗号資産の価格に影響を与えることがあります。
例えば、暗号資産に関する新たな政策が発表され、それが投資家達によってポジティブに受け止められると、暗号資産の価格上昇要因になります。
4 国際情勢、自然災害
国家間の緊張の高まり、戦争、天災、ウイルスの蔓延などが起きると、原材料価格上昇等による景気への不安が生じるため、基本的にはリスク資産である株式や暗号資産にとっては価格下落要因となります。ただし、これらによって逆に業績を伸ばす企業も存在します。
特定の地域のみに生じた紛争や災害であったとしても、現代のグローバル経済においては世界中が相互に影響し合っているため、世界全体に波及します。
5 外国為替相場(株式)
外国為替相場の動きは、企業の業績に大きな影響を与えますので、当然株価にも作用します。
日本の企業であれば、円安は、輸出関連企業(自動車、電子部品製造業等)には売上増加が生じるため株価上昇要因となりますが、内需関連企業(電力、建設、小売、サービス等)には原材料等の輸入コスト増加を招くため株価下落要因となります。
逆に、円高は、内需関連企業には材料費等の輸入コストが下がるため株価上昇要因となりますが、輸出関連企業には売上減少を招くため株価下落要因となります。
