2026年2月時点
この記事では、基本的な経済指標であるGDP(国民総生産)の意味、計算方法、変動要因、名目GDPと実質GDPの違い、日本の現状と海外との比較等について解説します。

GDPとは国内の付加価値合計
GDP(国内総生産:Gross Domestic Product)とは、ある国の内部において、一定期間内に新しく生み出されたモノやサービスの付加価値の合計を表す経済指標をいいます。
付加価値とは、企業で言うところの粗利(売上-原価)にあたります。つまり、GDPは、国全体でどれだけ多くの粗利を生み出しかを示します。
GDPは、国全体の経済の規模や成長度合い、景気の変化を知るための指標として使用され、1年又は四半期(3か月)ごとに算定されることが多いです。
GDPの計算方法
GDPは、次の計算式によって算出されます。
GDP=民間消費+民間投資+政府支出+純輸出(輸出-輸入)
GDPを上げる方法(変動要因)
GDPを上げる(増やす)には、どうすればよいのでしょうか。
上記のとおり、GDPは、①民間消費+②民間投資+③政府支出+④純輸出(輸出-輸入)で算出されますので、これら①~④の数値を上げることで、GDPを増加させることができます。
逆に、①~④の数値が下がるとGDPは減少します。
①民間消費、②民間投資の拡大
国民の賃金・所得を上げて購買力を向上させたり、消費マインドを促したりすることによって民間消費(国内需要)を増加させること、民間企業の設備投資等を増加させることが、GDPの増加要因となります。
③政府支出の拡大
財政政策(積極財政)や社会保障等(政府最終消費支出)、道路やインフラ整備などの公共事業等(公的資本形成)の政府支出を増加させることが、GDPの増加要因となります。
④純輸出の拡大
海外への輸出額が海外からの輸入額を上回る貿易黒字の状態になることが、GDPの増加要因となります。
名目GDP、実質GDPとは
名目GDP(Nominal GDP)とは、実際に取引されている価格で計算したGDPをいいます。
実質GDP(Real GDP)とは、名目GDPから物価変動の影響を取り除いて計算したGDPをいいます。
例えば、1個10,000円のサービスAしか存在しないX国があったとして、ある年に国内でサービスAが100個が売れたとすると、名目GDPは100万円になります。
名目GDP:10,000円×100個=100万円
翌年、物価が10%上がり、サービスAが1個11,000円になり、昨年同様100個売れたとすると、名目GDPは110万円になります。
名目GDP:11,000円×100個=110万円
このように、経済が成長していなくても、物価が上がれば名目GDPは増大します。
逆に、物価が下がれば、経済が成長していても名目GDPが下がることもあります。
名目GDPでは、経済の実態を正確に把握することができないわけです。
そこで、名目GDPから物価の影響を除いて計算する実質GDPの方が、より経済の実態を表す指標といえます。物価の影響を除くために、GDPデフレーターという指数を使います。
実質GDP=名目GDP÷GDPデフレーター
GDPデフレーターは、基準年から物価が上昇(インフレーション)している場合には1を超える値に、基準年から物価が下落 (デフレーション) している場合には1未満の値になります。
上記の例では、10%の物価上昇がありましたので、GDPデフレーターを1.1として実質GDPを求めると、名目110万円÷1.1=100万円ということになり、実質的には昨年と同じ(経済は成長していない)という結論になります。
日本のGDP、海外との比較
内閣府によれば、日本の2025年のGDPは、名目662兆円、実質590兆円でした。
日本は、戦後、高度経済成長期に入り、1968年に名目GDPはドイツを抜いて世界ランキング第2位にまでなり、その後50年近くに渡って世界第2位の経済大国の地位に立ち続けました。
しかし、バブル経済が崩壊した1991年頃から低成長期に入りました。この間、中国が高い経済成長率を維持し続け、2011年には名目GDPで追い抜かれました。
その後、日本と中国の名目GDPの差は広がり、現在では比較にならないほどの差が生じてしまっています。
さらに、2023年にはドイツにも抜かれ、世界ランキング第4位に転落してしまいました。

データ 内閣府
1人あたりGDPとは
GDPの大きさは、国全体の経済の規模(大きさ)を示します。
これに対し、1人あたりGDPは、GDPを国民数で割った数値をいい、その国の国民の平均的な豊かさ、生活水準を見るための指標として使われます。
人口が多い国では、GDP(経済規模)が大きくても、1人あたりGDPが低くなることがありますし、人口が少なくて高い付加価値を生み出している国は、1人あたりGDPが高くなります。
上記のとおり、日本は名目GDPで世界第4位ですが、人口が多いため、1人当たりGDPではイギリスや韓国よりも低い水準です。
また、中国は名目GDPで世界第2位ですが、人口が非常に多いため、1人当たりGDPでは日本よりもかなり低い水準になっています。

データ 内閣府
